映画「おしょりん」

映画「おしょりん」を鑑賞してきました。

「おしょりん」とは福井の方言で田畑を覆う雪が固く凍った状態を指すそうです。福井出身の私も知りませんでした。

「国内シェア95%」は有名ですが、眼鏡フレーム製造がものすごく緻密な作業で、高度な技術力が必要であることはあまり知られていませんね。

私も原作の小説を読むまで知りませんでした。

この映画は単なるメガネの製造過程を描いたドキュメンタリーではなく、

苦難に立ち向かいながら、日本製メガネ産業の礎を築いた増永兄弟の熱意と、彼らの夢を支え続けた妻むめの愛情深い姿を通して、心を込めたものづくりと、それを通じて育まれる人々の心の成長を描く物語です。

特に心に残ったところ。

セルロイドの眼鏡フレームを修行に行くために会社を辞める社員をあたたかく送り出し、

数年後その元社員が福井でセルロイド枠を製造する会社を作りたいと挨拶に来たときも、快諾した五左衛門の懐の深さです。

自社の資金繰りもままならない時期に、ライバル会社、それも先端技術を持った会社の進出に寛大であったことが、現在のシェア95%の土台であったことは間違いありません。

いつの時代もファーストペンギンになる者には、このような他利の矜持が必要なのかもしれませんね。

雪が降り積もる冷たく暗い夜が明け、すっきりと晴れた冬の朝、「おしょりん」に誰よりも早く足を踏み入れ、自分の足跡を残していく。という姿が、

眼鏡フレーム製造を通して、何もなかった郷土にひとつの光を導いたファーストペンギンに重なった、そんな題名でした。

主人公の増永めがねは福井で最も有名なめがねブランドとして今も健在で、おしゃれで個性的な眼鏡フレームを今も世界に発信しています。

また、俳優さんの演技もよかった。

北乃きいちゃんはこの映画のために増量したのかな、小泉孝太郎さんは頑固で不器用な田舎のおっさんの役をみごとに演じていましたね。

みなさんも是非映画館に足を運んで感動してください。